家を建てる前に知っているといいこと
Vol.2 さまざまな都市計画・用途地域ってなに?
■用途地域
 都市において集団的な社会生活をするには、種々の用途の異なる建築物が必要となります。この建物が無秩序に建築されますと、機能的にも混乱し生活環境も破壊されてしまいます。
 そこで建築物の類似したものを集め、同時にふさわしくないものは建築に制限を加え、その能率化と環境を整備保護する為に用途地域における制限が設けられています。
 基本地域としては住居系7地域、商業系2地域、工業系3地域に定められ住環境の保護を主眼として土地利用の純化整備が図られています。

■建築面積
 建築面積とは外壁または外部の独立した柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積です。ただし地階は除かれますが1階より2階がはね出した構造でははね出した部分も面積に加算されます。
 軒、庇等が1メートル以上突き出ている部分は1メートル差し引いた残りの水平投影面積が含まれます。独立した柱のあるポーチ、バルコニーも対象面積として加算されます。

■床面積
 建築物の各階または各室の壁、柱、その他の区画の中心線で囲まれた面積の事を言います。ポーチ、バルコニーなどは含まれません。一般に登記面積はこの床面積で算出されます。

■延べ床面積
 各階の床面積の合計です。金融公庫住宅の融資対象面積の制限は、この延べ床面積が対象となります。

■建ぺい率
 建物の敷地面積に対する建築面積の割合の事です。
例えば建ぺい率制限50%の敷地に建てられる建築面積は敷地が100平方メートルとすると
100×0.5=50平方メートルまで可能です。

■容積率
 床面積の合計(延べ床面積)の敷地面積に対する割合の事です。

■斜線制限
 良好な住環境と都市の形態を整える方法として、第1種、第2種低層住専の北側斜線と絶対高さ制限、第1種、第2種中高層住専の北側斜線、前面道路からの道路斜線制限、東京都都市計画による高度斜線制限があります。

■道路斜線
 前面道路の幅と道路境界線からの建物の離れにより制限を受けます。前面道路の反対側の境界線から建物の各部分(棟など)までの水平距離に住居系地域では1.25を乗じた高さを超えて建築できません。
 但し道路境界線から建物が後退している距離と同じ距離だけ水平距離に加えることが出来ます。つまり後退している分だけ道路の幅が広がっている扱いになります。他に道路からの高低さによる緩和もあります。

■北側斜線制限
 第1種、第2種低層住専の地域では用途別の建築制限のほかに絶対高さ、北側斜線による高さ制限があります。この地域は低層住宅地としての良好な環境を保持する為、絶対高さが10mまたは12mに制限され、個々の住宅が日照、通風といった自然環境から阻害されない様制限したものです。
 北側斜線による制限は前面道路の反対側の境界線または隣地境界線の真北方向水平距離に1.25を乗じた高さに第1種、第2種低層住専では5m、第1種、第2種中高層住専では10mをそれぞれ加えた高さ以下としなければなりません。北側斜線の場合は道路境界線からの後退による緩和はありませんが、反対側に川とか路線敷き、その他これらに類するものがある場合は緩和されます。
 ただし公園や広場は日照等の保持の為、緩和対象から外されます。東京都などでは高度地区による高度斜線制限があり北側斜線制限はより厳しい制限になっています。

■高度地区制限
 都市計画法では「高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区とする。」と述べられています。
 住居系地域では、この規定により北側隣地の日照保護、通風などある程度の自然環境が確保されます。そのため北側斜線制限より一層厳しい制限となります。
 東京都における高度地区には第1種高度地区、第2種高度地区、第3種高度地区があって各々制限規定があります。特に第1高度地区の高度斜線は真北方向水平距離×0.6に5mを加えた高さが限度となります。(建築基準法の北側斜線では1.25)
 都市部では二階建て以上の住宅を計画する場合は、この制限を理解しないと確認が受けられない建物となってしまいます。
| HOME |