紳士が語るような落ち着きのある音色と、時には優しく穏やかに、またある時は情熱的に幅広く表現できる楽器の性質は、正にヨーロッパ映画の紳士を思わせるダンディーな楽器と言えるでしょう。

チェロの歴史 チェロとヴァイオリンの違い チェロの役割 チェロに向いている人

チェロの歴史
チェロの祖先は、ルネサンスやバロック時代(16〜17世紀)に活躍した膝に挟んで演奏する「ヴィオラ・ダ・ガンバ」という楽器です。この楽器は、現在のチェロとくらべると音量が小さく音色が繊細で柔らかく輝きと変化に乏しい楽器でした。時代が近代になり、より華やかでより大きな音が求められると共に改良を重ね、現在のチェロに発展して行ったと言われています。

エンドピン


ゴムを取りつけたエンドピン


アルコ奏法


ピチカート奏法


親指を使って演奏


チェロの弓
チェロとヴァイオリンの違い
まず最大の違いは楽器の大きさと演奏する際の構え方です。ヴァイオリンが全長約60cmに対してチェロは全長約120cmと全長、厚さもヴァイオリンの約2倍の大きさです。

ヴァイオリンはあごに挟んで演奏しますが、チェロは楽器が大きいために、エンドピンと呼ばれる金属製の脚棒で楽器の高さを調節して膝に挟んで演奏します。その際、床に傷をつけてしまうのでピン先にゴムを取り付けできるようになっています。

演奏法においても、ヴァイオリン同様に弓を使って演奏するアルコ奏法と指で弦をはじいて演奏するピチカート奏法がありますが、速弾きの際などには写真のように親指を使って演奏する事もあります。これはヴァイオリンの奏法にはない特殊な奏法と言えます。

また弓の長さは、ヴァイオリンの弓よりもチェロの弓の方が短くなっています。楽器が大きいのだから同様に弓も長いように思えますが、ヴァイオリンが約75cmに対してチェロは約73cmと、約2cm程度短く太くなっています。

弦やミュート(弱音機)はチェロ専用の物を使います。楽器の基本的な構造や材質はヴァイオリンと同じですが、ヴァイオリンよりも完全5度低く調弦されているヴィオラよりも更に1オクターブ低い音が出ます。


ミュートなし

ミュート


チェロの役割
チェロの落ち着いた低音の音色は、オーケストラや様々なアンサンブルに於いて、音楽を支える重要な役割を担っています。また独奏楽器としても表現力が豊かで、安心感や男性的な情熱感を与えてくれます。

チェロに向いている人
皆さん、もうお分かりですね。一見地味なダンディータイプで体や手が大きく、人をさり気なく支えるのが得意な意思のしっかりした人は、きっとチェロと親友になれるでしょう。