今回は、ヨーロッパで13世紀頃使われていたショームという楽器から発展したといわれており、バッハの時代にはオーボエ・ダ・カッツィアと呼ばれていたイングリッシュホルン(コールアングレ)をご紹介します。
イングリッシュホルンの歴史
名称の由来は諸説あり、昔のこの楽器はキィが少なく、オーボエの様にまっすぐでは指が届かず演奏出来ない為曲がっていた事や、ボーカルが曲がった楽器の形から、「角度のある(曲がった)管楽器」を意味するコール・アングル(Angle Horn)と呼ばれ、それが誤って「アングロ・サクソン(イギリス)の角笛」を表すコール・アングル(English Horn)と転じたといわれています。

また一説には、18世紀頃にあったイギリスの狩猟に使われたホルンに似ていた為にイングリッシュホルンと呼ばれたとも言われています。

リード

イングリッシュホルンの仕組み
楽器の材質はオーボエと同じグラナディラと呼ばれる木で作られているものがほとんどで、オ−ボエやファゴットと同じくダブルリードを用いて演奏します。(右はクラリネットのリード)

楽器の長さはオーボエの1.5程で、オーボエよりも太く、リードと楽器の接続部分も違います。


イングリッシュホルンではリードと楽器の接続の為に、真鍮で作られたボーカルというカーブした管を使用します。


ボーカル


ベル

オーボエのベルがややストレートに開いているに対し、イングリッシュホルンは球根の様にベルがふくらみを持ち、先は少々しぼんでいます。

ストラップ

オーボエよりも少し重い為、ストラップを用いて演奏します。
(楽器を分解したところ)


イングリッシュホルンの特徴
イングリッシュホルンは、オーボエより完全5度低い音を基調として作られた楽器で、オ−ボエよりも少し太い、深みのある柔らかい音色を持っています。これはベルの先をしぼることによって、その音をストレートに出さずにこもらせており、内部で音が共振している為です。この独特な音色は、牧歌的なフレーズで使われることが多いようです。

イングリッシュホルンの仲間
イングリッシュホルンはオーボエ属に属し、オーボエ、オーボエ・ダモーレ等が同族です。

その他にもバリトン・オーボエ、ヘッケルホーン、ソプラノ・オーボエ、コントラバス・オーボエ、ミュゼット等がありますが、今日頻繁に使用されている物はあまり多くありません。