※音色はフルートです。
今回のおもしろ楽器館はキラキラと輝き木管パートをリードする「フルート(・ピッコロ)」を紹介します。

フルートの歴史 フルートの仕組み フルートに向いている人 ピッコロ(イタリア語で小さいという意味)


トラヴェルソ


フルート
フルートの歴史
まずはフルートの歴史についてお話しします。バッハが活躍していたころはフルートと言えば「たて笛」(リコーダー)が主流で「横笛」のフルートは特殊な楽器でした。

その後、横笛はモーツァルトの時代に注目され、たて笛と同様にフルートとして認められるようになりました。しかしこの時代の横笛のフルートは「トラヴェルソ」と言って音程が不正確で演奏の大変難しい「木製」の楽器でした。

現在の金属で出来たフルートが木管楽器と呼ばれるのはこのように昔は木製だったからなのです。

モーツァルトは当時この楽器が大嫌いで、フルートコンチェルトの作曲の依頼があった時に気が進まなかったようです。そのため「フルート協奏曲第2番」は以前書かれたオーボエ協奏曲に手を加えて作られました。

モーツァルトの死後半世紀ほどたって1847年にドイツ人の「テオバルト・ベーム」さんの手によって、ようやく「ベーム式」と言う現在の機構が完成し、正確な音程が出せるようになりました。みなさんが思いおこすフルートはこの「ベーム式横笛」のことなのです。




歌口

フルートの仕組み
ここでフルートの仕組みについてお話しします。材質は金製・銀製・プラチナ製・木製がありますが、値段が手頃と言う理由から現在では銀製のフルートが主流になっています。

フルートは「頭部管」「胴部管」「足部管」の3つの筒から構成され、大小16個の穴を9本の指で開閉して演奏します。

実際には直接穴には触れず、タンポと言うパッキング付きのふたと、それらと連動するバネがついた8個のキーを指先で操作します。通常のキーの事を「カバードキー」と言い、穴のあいたキーの事を「リングキー」と呼びます。また頭部管の息を吹きかける穴を「歌口」(うたぐち)と呼びます。

フルートに向いている人
フルートの演奏家はビールビン・花瓶・コップなど適度の大きさの丸い穴があいていればたいていの物で音が出せると言われています。つまりこのような物で音の出せる人はフルートに向いているといえるでしょう。

フルートとピッコロ

ピッコロ(イタリア語で小さいという意味)
ついでに「ピッコロ」と言う楽器についてお話しします。一般的なピッコロは材質が木製と言うこと以外は構造や機構はフルートと同じですが、大きさが違います。写真の様にフルートの半分の大きさなのが特徴です。

楽器の管の長さが極端に短いため正確な音程で演奏するには、熟練した技術と良い耳が必要となります。

また、オーケストラの楽器の中で一番高い音が出せますが、楽器の大きさからは想像ができないほどの音量と目立つ音質のためミスがゆるされない責任重大な楽器です。責任感のある方や目立ちたい方にはお勧めの楽器かも?

楽譜の記譜上はフルートと同じに書かれていますが、実際にはフルートのオクターブ上の音が発音されます。日本のオーケストラではフルート奏者が持ち替えでピッコロを演奏するため、フルート奏者はピッコロも吹けなくてはいけません。フルートとピッコロは兄弟の様にセットとして扱われています。

最後に、フルートは発音原理がとても原始的で吹く人の個性やイメージがストレートに表現される楽器です。たとえば尺八の演奏家がフルートを吹くと尺八の音が出ると言うのは有名な話です。

自己主張が強く個性的なあなた!フルートで自分を表現してみてはいかがですか。

トリオ・フルール

フルート、ヴァイオリン、ピアノの室内楽トリオ
この楽器のアンサンブル動画がご覧いただけます。。

♪演奏:トリオ・フルール(Trio Fleur)