今回のおもしろ楽器館は、素朴な音色が魅力的な「コカリナ」と言う楽器を紹介します。「コカリナ」という名前は、「木で作られたオカリナ」ということから名付けられたそうです。最近では新聞やテレビでも取り上げられ、ブームを呼んでいる楽器です。

コカリナの歴史 コカリナの仕組み コカリナの演奏法 コカリナの仲間 コカリナの特徴 コカリナに向いている人


コカリナの歴史
コカリナは、もともと東ヨーロッパのハンガリーの民族楽器です。ハンガリー民族音楽を演奏する笛としてハンガリーの露天などで売られていましたが、音程や音質において現代の楽器としては不十分なものでした。

しかし、フォーク・シンガーである日本人の黒坂黒太郎さんが1996年にハンガリーを訪れ、ハンガリーの職人さんと日本の木工職人さんとの研究開発の結果、優れた楽器として完成させました。

1999年冬期長野オリンピックが開催された時に、オリンピック道路建設のために伐採された木からコカリナを制作して地元の子供達に贈ったことがきっかけとなり、広く世間に知られることとなりました。

また、広島県で保管されていた被爆樹で製作されたコカリナも存在します。

小さな子供からお年寄りまで、気軽に楽しむことのできる楽器です。その木の優しい音色が、自然環境を守るシンボルとしても大きな注目を浴びています。










歌口


ソプラノコカリナ
コカリナの仕組み
コカリナはリコーダーとは異なり、管の底が閉じています。

息が管の中で回るので、柔らかい木の響きを損なわずに出すことが出来ます。

コカリナの材質は、主にやや硬めの広葉樹(桜、もみじ、かえで、くるみなど)で、その他には、柔らかい針葉樹(松、スギなど)の物もあります。それぞれの木によって音色が変わるので、その違いを楽しむことが出来ます。

また、長さ8センチ、直径28ミリの小型のサイズなので、首に下げて何処へでも持って行くことが出来ます。





コカリナの演奏法
コカリナの音域は1オクターブと1音というものですが、運指は簡単です。

6個の指穴を両手の親指、人指し指、中指の合計6本の指を組み合わせて開閉することにより、1オクターブと1音の音階を作ることが出来ます。(ソプラノコカリナ)

コカリナの仲間
コカリナにはソプラノコカリナ、アルトコカリナ、子持ちツインコカリナ、子持ちトリプルコカリナ、バリトンコカリナがあります。

最もオーソドックスなソプラノコカリナ(C管)は、ドから上のレまでの音が出せます。木の種類は、カエデ、イタヤカエデ、ミズメザクラなどの物があります。

アルトコカリナ(G管)は、ソプラノコカリナより太く低い音を持ち、ソから上のラまでの音が出せます。

子持ちツインコカリナ(C管)は、平型にした胴体にソプラノコカリナとミニコカリナの穴が開いていて、ドから上のファの音が出せます。

子持ちトリプルコカリナ(C管)は、ソプラノコカリナの両側に補助ロケットの様な小さなコカリナが2本付いて、パンフルートのようにスライドさせながら演奏します。ラから上の♯ファまでの音が出せます。

バリトンコカリナは、ソプラノコカリナより1オクターブ低い落ち着いた音が出ます。


コカリナの特徴
コカリナの特徴はプラスティックのリコーダーなどとは違い、全て木で出来ているため、木が持つ優しい響きを味わうことが出来ることです。

また、吹き込む息の強さによって、音程を半音近くずらすことが可能です。そのため、合奏などを行う場合、より繊細で美しいハーモニーを生み出すことができるのです。

コカリナに向いている人
自然を愛し、素朴な木のぬくもりを感じていたい方には是非お勧めします。もし都会生活に疲れを感じていると思った方は、浮き世を忘れてコカリナを吹いてみてはいかがでしょうか。

コカリナについてもっと詳しく知りたい方は、http://www.kocarina.net/をご覧下さい。