今回の「おもしろ楽器館」は、誰もがみんな知っている「ピアノ」についてのお話です。あらゆる楽器のなかで最も音域が広く(これより広いのはシンセサイザーとパイプオルガンくらいでしょう。)、いっぺんにたくさんの音を同時に鳴らすことができます。だから例えば、右手でメロディーを弾きながら、左手で伴奏する言わば「ひとりカラオケ」が可能な便利な楽器です。その機能性と音色の美しさのためいろんなジャンルの音楽に使われますが、ジャズ、クラシック、ラテン、ニューミュージック・・・などなど挙げると切りがないほど大人気の万能楽器なのです。

ハンマー


鋼鉄製の弦


鍵盤


響板とフレーム
ピアノの仕組み
ピアノという楽器は知っていても、それがどうして音が出るのかを知っている人は案外少ないのではないでしょうか?ピアノは「弦楽器」(ヴァイオリンやギターなど弦が張ってある楽器)と「打楽器」(文字どうり打ったり、叩いたりして音を出す楽器。太鼓、シンバル、木琴等)の仲間の楽器の両方にあてはまる「打弦楽器」であると言われています。

張ってある鋼鉄製の弦をフェルトの巻いてあるハンマーで叩いて音を出すためです。

更に、鍵盤があるため「鍵盤楽器」(オルガンやピアニカ等)の仲間でもあります。

弦をハンマーで叩くだけで一応音はでるのですが、ピアノ本来の大きな音は鳴りません。ピアノの中には響板という大きな木の板があり、弦の振動がこの板に伝わることで大きな音になるのです。響板はヴァイオリンの木の箱(ボディー)と似たような働きをしているわけです。

また、鋼鉄製の弦を88本も張るのですから、それを支える”枠”(フレーム)がかなり頑丈にできていなければ楽器がつぶれてしまいます。(現在のピアノは約20,000Kgの強さで弦が張られています。)ピアノの中には鉄でできた丈夫な”枠”が入っており、それが弦の張る力を支えています。

ペダル
ピアノのペダル
ピアノには演奏者の足下にふつうペダルが2つか3つ付いています。その役割はピアノの種類によっても異なりますが、だいたい次のようになります。

1. ペダルを踏んでいる間は、鍵盤から指を離しても音が延び続けるようにする役割。音量も大きくなる。
2. 音量を弱めるための「弱音ペダル」

ダルシマー


チェンバロ
ピアノの先祖
ピアノを「打弦楽器」であると考えますと、その先祖は「ダルシマー」や「ハックブレット」といった民族楽器になります。これらの楽器はフェルトの巻いてあるばちを木琴のように直接手に持ち、それで弦を叩いて音を出します。チェンバロ」(ハープシコードとも呼ばれる)です。

次にピアノを「鍵盤楽器」であると考えた場合、その1つ前の先祖は「チェンバロ」(ハープシコードとも呼ばれる)です。

この楽器は張ってある弦を鳥の羽軸で弦をはじいて音を出します。音の強弱を自由にコントロールできないので、クレッシェンド(だんだん強く)や、デクレッシェンド(だんだん弱く)は不可能でした。

ピアノの誕生
チェンバロは音に強弱をつけるのが苦手だったのですが、18世紀初めイタリアのクリストフォリによって改良がなされ自由に強弱がつけられるようになりました。この楽器は 「クラビチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」(弱い音も強い音も出るチェンバロ)と言う長い名前だったのですが、そのうち「ピアノフォルテ」になり、現在はさらに短くなってピアノと呼ばれるようになりました。
現在のピアノ
現在はさまざまなピアノが造られていますが、そのなかには電気的な仕組みを持つものもあります。つまりコンセントが必要なわけです。その音質をいわゆる生ピアノ(非電気的なピアノ)に劣ると言う人ひともいますが、趣味でピアノを弾くのならこれで充分と言うひともいて、かなり普及して(特に日本では)おります。

このように、ピアノが私達の住宅事情に合わせて電気的な進化を遂げ一番身近な楽器となったのも、1台のオーケストラと呼ばれるほどの広い音域と豊かな表現力に多くの人々が魅了されているからだと言えるでしょう。

トリオ・フルール

フルート、ヴァイオリン、ピアノの室内楽トリオ
この楽器のアンサンブル動画がご覧いただけます。。

♪演奏:トリオ・フルール(Trio Fleur)