今回のおもしろ楽器館は、「ささら」という富山県に伝わる民族楽器を紹介します。
108枚の木の板をつないだこの打楽器は、魔よけとして古くから大切にされてきました。

ささらの歴史 ささらの仕組み ささらの演奏法 ささらの仲間 ささらの特徴 ささらに向いている人


ささらの歴史
ささらは645年の大化の改新の頃に生み出されたとされている古代楽器です。主に田楽系統の踊りに用いられました。
富山県の五箇山(ごかやま)地方に伝わる民謡「筑子(こきりこ)唄」(中世15〜16世紀頃)に合わせて、ささらを打ち鳴らしながら踊ります。

*こきりこ唄
 ♪こきりこの竹は7寸5分じゃ。
  長いは袖のカナカイじゃ。
  はれのサンサもデデレコデン
  窓のサンサもデデレコデン♪
五箇山は富山県と岐阜県の境にあり、9月に「こきりこ祭り」が行われ、ささらを打ち鳴らしながら踊る様子を見ることができます。





ささらの仕組み
「ささら」は短冊形の薄い桧(ひのき)の板が108枚つづってある打楽器です。もとは中国の拍板(細長い板を数枚から十数枚合わせ、上部を一つに結び付け、下部を左右に開いて打ち合わせる打楽器)から変化したといわれ、数枚の木の札を一直線につないだ簡単なものなどもありますが、108枚の板をつないだ約70cmのものが一般的です。

108枚の板の間を少しづつ空けて上端を繋ぎ合わせ、両端に取っ手をつけたもので、全体を一直線にします。太いタコ糸のようなひもで編みつないでいます。

ドミノ倒しのように、これら108枚の板が「互いにぶつかりながら」移動して行くことで音が鳴ります。














ささらの演奏法
ひもでつないだ方を上部にして、左右の手でささらの端の取ってを持ちます。

親指を挟まないように気をつけながら、片方の手をあまり動かさないようにして、手首のスナップを利用してささらを鳴らします。

この動作を左右交互に繰り返しながら、いろいろなリズムを演奏します。

ささらの仲間
ささらの仲間には、スイスの「レッチェ」という楽器があります。これは、スイスの民族楽器のひとつで、木片を皮でつなぎ合わせたものです。

また楽器ではありませんが、北海道などの豪雪地域には「ささら除雪車」といって、路面の雪や氷りをかき出す部分に巨大な「ささら」が取り付けられた除雪車もあります。



ささらの特徴
ささらは108つの煩悩(ぼんのう:人間の心身の苦しみを生み出す精神のはたらき)を払う厄(やく)よけとして床の間に飾ったりします。

写真のように、「造形ささら」として自在に変化させて形を楽しむことができます。昔から福を呼ぶ縁起の良い置き物とされてきました。

「ささら」は、楽器として楽しむことは勿論、演奏しない時は厄よけとして床の間に飾れる万能楽器なのです。

ささらに向いている人
最近良いことが無く、前向きな気持になりたいと思っている人は、ささらを毎日鳴らしてみては、いかがでしょうか。