モーツァルト・ブラームス・ショスタコービッチ・バルトーク・ベルリオーズなど偉大な作曲家はなぜか晩年にヴィオラの曲を書いています。ヴィオラの持つ落ち着きのある渋い音色が人生をまっとうしようとする偉大な作曲家の願いや気持ちを表現するのに最適だったのでしょう。

ヴィオラの歴史 ヴィオラとヴァイオリンの違い ヴィオラの役割音楽通の為のヴィオラジョーク ヴィオラに向いている人


ヴィオラの歴史
ルネサンスやバロック時代は膝に挟んで演奏するヴィオラ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)とあごに挟んで演奏するヴィオラ(ヴィオラ・ダ・ブラッチョ)の2種類がありました。後者のあごに挟んで演奏するヴィオラが現在のヴィオラの祖先にあたります。

18世紀の中ごろまではオーケストラでしか使用されていませんでしたが、弦楽四重奏の発達に伴い、室内楽にも欠かせない楽器となりました。独奏楽器として認められるようになったのは18世紀後半からです。

ヴィオラ(左)とヴァイオリン(右)


ヴィオラ(上)と
 ヴァイオリン(下)の弓
ヴィオラとヴァイオリンの違い
ヴァイオリンは知っていてもヴィオラをご存知の方は、かなりの音楽通と言えるでしょう。ヴィオラのために書かれた独奏曲などが少ないなめ、影の存在になっているのが現状です。

それではこの謎の楽器ヴィオラとヴァイオリンの違いについてご紹介します。

まず最大の違いは楽器の大きさです。

この写真の様にヴァイオリンよりも大きさ、厚さとも少し大きいのが特徴です。
また弓の大きさもこの様にほんの少し大きく、重さも10g前後重いものを使います。
弦もヴィオラ専用のものを使い、松ヤニもヴァイオリンのものより少し軟らかいのを使用します。

ミュートはヴァイオリンと同じものを併用します。4本の弦はヴァイオリンよりそれぞれ完全5度低く調律します。ヴィオラには分数楽器(小さいヴィオラ)がないので子供はヴァイオリンから始めましょう。

では、ヴィオラとヴァイオリンの音色を聞き比べてみましょう。

ヴィオラ REAL AIFF
ヴァイオリン REAL AIFF



ヴィオラの役割
ヴィオラは独奏向きの楽器ではないため主役としてスポットライトがあたるようなレパートリーは少ないものの音楽の中では内声部を支える縁の下の力持ちとして大変重要な楽器です。

またオーケストラの中では弦楽器と管楽器の仲介役としても大変重要な役割を持っています。ヴィオラがいないとオーケストラの楽器の音色どうしがけんかをしてしまい、バランスのとれたきれいなハーモニーにはなりません。

音楽通の為のヴィオラジョーク
ヴィオラは内声部の演奏が多いので音程が取りにくく、音の立ち上がりも遅いためリズム感が悪いように聞こえることからヴィオラの演奏者を皮肉ったジョークが世界的に多くあります。その一例を紹介します。

[Q]ヴァイオリンよりヴィオラが優れている点は?
[A]ヴィオラの方が長く燃える。(ヴァイオリンより少し大きいため、暖を取る際に長く燃える)

[Q]短2度の定義は?
[A]ヴィオリスト2人がユニゾンで弾いているところ。(ユニゾンの音程がとれないほど、音感が悪い)

[Q]あるヴィオリストが「今日は32分音符をさらってきた!」と言った。「そんな馬鹿な!弾けるはずがない」と仲間が答えた。するとそのヴィオリストは…?
[A]自身たっぷりと弾いてみせた。32分音符をひとつ…(ヴィオリストには仲間に気を使い和ませるユーモアが必要である)

ヴィオリストにはこのようにジョークを言われても笑って流せるバイタリティーと根性が必要です。

ヴィオラに向いている人
血液型がAB型の人はヴィオラに向いていると言われています。前に説明したように、音楽の内声部を支え楽器どうしの仲介役のため、回りに気を使い臨機応変に対応できる柔軟性を持った性格の人は向いているでしょう。目立ちたがり屋さんには、ちょっと向かない楽器ともいえそうです。