スコットランドの曲である「蛍の光」が日本風の曲に感じるのはなぜ?
初夏になって心地良い風を感じる頃になりました。
そこで、ベントーベン先生とエリーゼちゃんは自然学習のために、高原にやって来ました。
ランラ・ランラ・ラン♪
水も空気も美味しいし、自然って最高ね。日本にこんなに美しい所があったなんて、感激だわ。
先生ところで、そこで何をしているの?
メロディーを書いていたのじゃ。
ふ〜ん。どんなメロディーなの?
歌ってみて。
タリラリラ〜ン♪
うわぁ〜きれいなメロディーね。この景色の印象とぴったり!
でもどうして今書いていたの?
う〜ん、むつかしい質問じゃな。
例えばあそこを見てごらん。絵を描いている人がおるじゃろ。それとほら、大きなカメラと三脚で花を撮影している人もいる。
そういえばそうね。あの人たちはゆっくり自然に触れていたくないのかしら?
いやいや逆じゃよ。あの人たちはこの自然に触れてなにかをしたくなったのじゃ。
みんな、この豊かで美しい風景になにかを感じてうれしくなっているのじゃ。
豊かで美しい風景…?
そうじゃ。
言葉でいうとむつかしくて分かり合えないものでも、音楽や絵画や写真などで表現すれば、言葉が通じない人とでも、気持ちを分かり合えたりするものなのじゃ。
多くの偉大な作曲家が自然の中から感じ取った事を音楽に表現して、名曲を数多く残したんじゃよ。
どこの国の人だって同じじゃ。さっきのエリーゼのおどりもな。ほれ、これがそのリズムじゃ。
ランラ・ランラ・ラン♪
うわぁ〜おもしろい。
でも気がつかなかった。これがわたしの自然から感じたリズムなのね!
そうじゃよ。そしてこれがわしのメロディーじゃ!
エリーゼのリズムとわしのメロディーを合わせてみよう。
ランラ・タリラリ・ラ〜ン♪
タリラリ・ランラ・ラン♪
わたしのリズムと先生のメロディー。二人の自然の音楽がこの場所で生まれたのね!
そう、そのとうりじゃ。どうやらわかってもらえたようじゃな。
でも先生、先生のメロディーはとっても日本的に感じるんだけど、こういう風に作曲するには何か秘密があるんじゃないの?
ギクッッ!!
私も先生みたいに、日本的な曲を作曲してみたいんだけど、アドバイスしてください!
仕方がないなぁ…。特別に秘密を教えてあげよう。
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドこれでひとつの音階ができるよね。
ええ。ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドくらいは知ってるわ。
さて、ここからが秘密の所じゃ。この音階から4番目と7番目の音を抜いて音階を作ってみる。
ええっと、ド(1)・レ(2)・ミ(3)・ファ(4)・ソ(5)・ラ(6)・シ(7)・ド(8)と考えると、ファ(4)とシ(7)を抜くのかしら。
そうじゃ。
すると、ド・レ・ミ・ソ・ラ・ドという音階ができる。これを『よな抜き』といってな、『よ=四、な=七を抜く』ってことじゃ。
この音だけを使って曲を書くと、日本の音楽っぽくなるんじゃ。【ソーラン節】とか、【北国の春】なんかも皆『よな抜き』で書かれている。
【ソーラン節】ソ〜ラドミ〜レドミ〜レドレ〜ドソラ〜ドソララ♪レミミレミミミレミミミレレドラ♪ミソミソラレド♪ミレドラドソラ♪ソソラドミミ〜ソレド〜ソラララ♪本当だわ。ひとつもファとシが出てこない。
【北国の春】ミミミミ〜レミミレド…
ああ。これも同じね。へえ。外国には『よな抜き』で作曲された曲はあるの?
外国でも『よな抜き』で作曲された曲はあるぞ。
もともと【蛍の光】はスコットランドの曲だけれど、これも『よな抜き』で作曲されておる。とても日本的な曲に感じるじゃろ。
【蛍の光】ソド〜ドドミ〜レ〜ドレ…♪
本当だあ。日本の曲かと思っていたわ。わかったわ。先生の秘密のこの『よな抜き』ね。
私もそれで曲を作ってみるわ!先生ありがとう!!!
楽しみにしておるぞ。