調律や音合わせの時に耳にする440ヘルツとは何のこと?
先生、ピアノの調律の時に調律師の人から「440ヘルツと442ヘルツのどちらにしましょうか?」と聞かれました。この440や442ヘルツとはいったい何のことですか?
お答えしよう。
それは調律の時に基準となるラ(A)の音の周波数のことなのじゃ。そもそも周波数とは1秒間に空気が何回振動して波うつかを表すものでこの空気の振動数のことをヘルツ(Hz)と言うのじゃよ。
わかったわ!つまり440ヘルツ(440Hz)は1秒間に440回空気が振動して発生する音のことなのね。
いかにも!この振動数の数値が大きくなると高い音がして数値が小さくなると低い音がするのじゃよ。
でもどうして調律の基準となるラ(A)の音の振動数が440ヘルツや442ヘルツと言うようにいくつもあるの?1つに決めれば良いのに…。
実は基準となるラ(A)の音の振動数は時代によって変わるのじゃよ。
モーツァルトの時代は422ヘルツ
1858年にフランス政府が決めていた振動数は435ヘルツだったのじゃ。現在アメリカや日本で決められている振動数は440ヘルツなのじゃが、最近は442ヘルツのように3ヘルツ前後高く調律するケースが増えてきて、定着しつつあるのじゃよ。つまり時代と共に基準となるラ(A)の音の振動数が増えて楽器の音が高まっているのじゃ。
どうして時代と共に楽器の音が高まって行くのかしら?
それはどうやらストレスと関係があるらしい。人間は心理的緊張があると高い音のほうが心地よく感じるのじゃ。自分の知らない人からかかってきた電話に出て応答する時や大勢の人の前で話す時に自然に声が高くなるのもそのためなのじゃ。
つまり、基準となるラ(A)の音の振動数が増えて楽器の音が高まって行くと言うことは忙しくてストレスがたまりやすい時代になっておると言うことなのじゃよ。
それでは今後もどんどん高くなって行くのかしら?
そうじゃろう。確実に高くなるじゃろうね。モーツァルトの時代と現在を比べるとなんと半音近くも高くなっておるのじゃ。モーツァルトが現在のトルコ行進曲の演奏を聴けば、イ長調をロ長調にかってに変調して演奏をしていると叱られるだろうね。