「ペットのトラが見つからない」と深刻に言うけれど、
 本気でペットとして虎を飼うつもりなのかしら?
前回のお話で先生が言っていた略語(りゃくご)について教えてくださる?
おおっ!そうじゃったな。
略語とは短く省略した言葉のことじゃよ。みんながあたりまえのように呼んでいる「テレビ」テレビジョンの略語なのじゃよ。
楽器や音楽用語で言えば、たとえばクラリネットクラと呼んだり、コンサートマスターのことをコンマスと呼んだりするのじゃ。
そういえばどこかで聞いたことがあるような気がするわ。
あ〜っ!!
もしかして昨日バスの中で楽器ケースを持った人達が言っていた「ペットのトラが見つからない」のペットやトラは音楽用語の略語なのかもしれないわ。
いかにも!音楽用語の略語はとにかくたくさんあるのじゃが、特によく使われるものをいくつか紹介してみよう。
オーケストラ
オケ、オーケストラなどで演奏者がたりない時に臨時でお願いするエキストラトラ、楽器のコントラバスコンバス、演奏者を責任持ってまとめるインスペクタインペク、楽器のトロンボーンボーントランペットペット弦楽四重奏(カルテット)を弦四(ゲンシ)またはゲンカル木管五重奏木五(モクゴ)などと呼んだりするのじゃ。
分かったわ!
「ペットのトラが見つからない」
は、「トランペットのエキストラが見つからない」ことだったのね。「ペットとして虎を飼うつもり」なのかと思って心配してたのよ、まぎらわしいわね。
もし、こういう略語を知らなかったら、オケは桶、ゲンシは原始時代のことかとかん違いしてしまうわね。
そうなのじゃ。
だから演奏者や音楽関係者以外の人達との会話ではややこしくなるので使ってはだめだよ。
は〜い。ほかにはどんなものがあるの?
そうじゃな。略語ではないが指揮者のことを(ボウ)、演奏会のことを本番(ホンバン)、出番の有る人をノリバン出番の無い人をオリバンと呼んだり、ゲネラルプローベのことをゲネプロ、チェロやコントラバスのように低音を担当する弦楽器のことを低弦(テイゲン)、インストゥルメンタル(楽器だけの音楽)をインストと呼んだりしておるな…。
「ゲネラルプローベ」ってなにかしら?
よくオーケストラや演奏会のスケジュール表や進行表にG.P.と書かれておるのじゃが、グランドピアノやF1グランプリのことではなくゲネラルプローベのことなのじゃ。
簡単に言えば「通し稽古」(とうしげいこ)のことじゃな。
しかし、楽譜にG.P.と書いてある時は「ゲネラルパウゼ」の略語であり、これは演奏中に全部の楽器が一勢に休んで音を出さない、という意味なのじゃ。
へ〜っ、いろいろあるのね。でも大事そうなことがたくさんあってなんだか不安になってきたわ。
おいおい!そう真剣に考えるでない。まずは正式な音楽用語や楽器名をきちんと学ぶことが大切じゃ。
プロの演奏家の中にも正式な用語を理解せずに使っている人達もいるのだからそんなに重要なことではないのじゃよ。知らなくて恥ずかしいことでもないのじゃ。
むしろ正式な音楽用語を知らない方が問題じゃな。
そうよね!
まずはきちんとした音楽用語を知らなければ短く略して言えないし、意味も分からないものね。
そのとおりじゃ。どうやら分かったようじゃな。
それでは最後に11月に続いてクイズの第2弾じゃ!遊び感覚で楽しんで文の意味を答えてみてくれ。
《クイズ1》コンバスが1名足りないので、インペクトラ探しをお願いしよう。
《クイズ2》オケゲネプロの時間が変更になりました。
《クイズ3》次のホンバンモクゴです。
《クイズ4》オケピットが狭くてボウが見にくいのでコンマスに合わせて演奏しよう。
《クイズ5》パーカスアコギリハは明日の午後です。
《クイズ6》次の曲からクラオリバンなので、ノリバンまで休憩してください。
(答えはこちらから)