世界のピアノについて教えてください。
先生!
昨日お友達の家でベヒ…??と言ったピアノを連弾して遊んだのだけれど、ベヒ…??って何かしら?
それは「ベヒシュタイン」のことじゃろう。
そうよ!それそれ。
ベヒシュタインって言っていたわ。
でも、ベヒシュタインって何のことですか?
「ベヒシュタイン」とは、ドイツのピアノ製造会社の名前じゃよ。
木の柔らかで温かい響きと、音の明瞭(めいりょう)を大切にしたピアノを作っておるのじゃよ。
「ピアノのストラディバリウス(ヴァイオリンの名器)」と呼ばれているのじゃ。
職人さんが心を込めて1台1台手作りで製造しておるのじゃよ。
ヘ〜っ、手づくりのピアノなんだ。
そう言えば、柔らかくて繊細な感じがしたわ。
ふむふむ、ピアノ製造会社の違いを音色で聞き分けられるとは、エリーゼも耳と感性が敏感になってきたのう。
感心、感心…。
それでは、発表会の時にエリーゼが弾いたピアノを覚えているかい?
その時のコンサートホールのピアノは確か…。
そうそう!「スタインウェイ」というピアノだったわ。
そうじゃったのう。
正式には「スタインウェイ&サンズ」といって、ドイツ人のスタインヴェグさんとその息子達が作ったことに始まるんじゃ。
もともとはドイツでピアノを作っていたのじゃが、1850年アメリカのニューヨークに渡り、1853年マンハッタンにピアノ製造会社「スタインウェイ&サンズ」を設立し、大成功をおさめたのじゃ。
スタインウェイはピアノ本体の鉄のフレームに弦の振動をほどよく響かせる構造により、大きな音量と輝きのある華やかな音色を持っておるのじゃ。
より大きく、きらびやかな音色を好む現代の私達にとって、最も人気のあるピアノと言えるのじゃよ。
わかったわ!
それでコンサートホールのピアノはスタインウェイが多いのね。
他にはどんなピアノがあるの?
オーストリアのウィーンのピアノ製造会社で「ベーゼンドルファー」が有名じゃな。
このピアノは一般的なピアノとくらべると低音域の鍵盤の数が多いのじゃよ。
追加された低音鍵盤は、押さえ間違えるといけないので、白鍵なのに黒く塗られておるのが特徴なのじゃ。
鍵盤が多い分、共鳴する弦の数も多いので、深みのある豊かな響きがするのじゃよ。
へ〜っ。
鍵盤数の多いピアノがあるなんて知らなかったわ。
先生、他には?
そうじゃな。
作曲家の「ショパン」が愛用していたフランスのピアノ製造会社で「プレイエル」があるのう。
このピアノでショパンの曲を演奏すると、格別な味わいが感じられるのじゃ。
ピアノを変えると音楽の味わいも違ってくるのね。
いかにも。
イタリアにはピアノ製造会社で「フルシュタイン」がある。
このピアノはイタリア民謡の「カンツォーネ」の歌声ような、明るくて開放的な音色がするのが特徴なのじゃ。
一言にピアノと言っても、世界中にはいろいろなピアノがあるのね。
ピアノに作った国のお国柄が表れるなんて面白いわ。
ピアニストは自分が毎日練習をしているピアノを演奏の度に持ち歩くことができないので、コンサートホールや演奏現場にあるピアノを弾くしかないのじゃよ。
調律の人にお願いをして、弾き易いようにタッチや音色の調整は出来ても、基本的な機構が違う場合は、現場のピアノに合わせて微妙に演奏方法を変えなければならない時もあるのじゃ。
だから、ピアニストはこれらさまざまなピアノの特徴を最低限知っておかなければならないのじゃ。
エリーゼも輸入ピアノを扱っている販売店で、店員さんにきちんとお願いをして世界中のさまざまな製造会社のピアノを弾き比べてみるのが良いじゃろう。
そうよね。
いろんなピアノの音色や特徴を、自分でも感じてみたいわ。
なんだか楽しそうね。
こんどの日曜日にお友達も誘って行ってきま〜す。